2017年4月15日土曜日

リスクマネジメント研修 (介護の危険予測)

福祉施設では事故を起こさないようにリスクマネジメントを行っている所は多いのではないでしょうか。

安全配慮義務の観点から会議を設けるように指導されているから行っているのだとは思います。


  どのような検討会や研修をされていますか  

事故報告書ヒヤリハットから、対応の変更や事前の防止策を考えたり、その時のワーカーの動きを振り返り適切な行動が取れていたかを確認する。これは必須ですね。


大切なことと思います。

ただ事故報告書やヒヤリハットを記入する用紙は、原因と改善案を書かないといけないものが使われていませんか?
もう記入をする時点で上司や同僚に相談・確認しつつ書かないといけないため、報告書が出来たら、その事例のリスクマネジメントは完了です。


なので、よくやってしまうありがちな事は、全員で報告書をもう一度見て再検討をする。なんてことは内容が反復していて、事故が起こった時と検討会を行っている時では状況が違うこともあり、効果が薄いものになりがちです。


それではリスクマネジメントの検討会ではどのようなことをすれば良いのでしょうか?
皆さんも御座なりになっていたり効果を求めて模索し毎回内容の変更が多かったりしません?


  事業所でどんなことをされているかまとめてみました  

①過去に起きた事故報告書やヒヤリハットを用いて現メンバーで新たな危険の発見や事故が起こる統計(時間、場所、介護度、事故内容)を取る。
例:転倒しやすい人はいつになるか、どのように起こるかをまとめる。など

②裁判の判決でどのような事故が起こり、責任の有無のボーダーラインを知る。

③今後ありそうな架空の事例を研修本などから用いて対応の検討会をする。

④今の利用者の生活を1人づつ振り返り、事故の危険性を探る。


①以外はどれも効果的だと思います。
①はその時の利用者と職員の状態をあまりわかってない人があとからガヤガヤ言っても、的を得るのは難しいですよね。
また、1ヶ月程度の事故内容事故発生の時間場所介護度の集計を取ってもあまり意味がないかもしれません。同じ利用者が同じ時間に事故が起きているために統計的に高くなっている事がよくあります。また危険予測が苦手な職員が対応している時に高くなっている事もよくあります。統計でケアやリスクを決める事はできません。安易に数値化してしまうと「改善策の甘さから再発した事故」が隠れてしまい本当の原因が見失ってしまいます。

②~④はしっかりと時間を費やし段取りをすれば効果はテキメンだと思います。



簡単に出来るリスクマネジメントとして
  危険予測訓練(KYT)  
があります。

方法は簡単です。

①今使っている福祉器具写真をみてメリットデメリットを述べる。
②現場の日常のスナップ写真を見て起こりうる事故を想像する。

この2つです。

たとえば

チルト式車椅子
〇ひじ掛け部分やフットレストが可動式・脱着式なのでロックの確認が必要。
〇座面が前傾になるところまで傾くのでずり落ちになりやすい。
〇背部も個人に合わせ調整できるので使い回すには都度の調整が必要。
〇頭部も調整が必要。
〇ひじ掛けの高さも調整が必要。
〇チルトでも機種によって操作が違い、慣れが必要。
〇クラッチなど機械部が多く壊れやすい。
〇頭部後ろに器があり髪の長い人は引っかかる。
〇簡易な車椅子と比べ重たい。小回りが利かない。
〇大きいため軽自動車の福祉車両には乗らない場合がある。
〇背を倒しても、前輪が挙がらないように後輪の後ろに補助輪が付いている。


福祉用具でなくても普段使っているものでも出来ますよね。






先割れスプーン
〇すくうにはこぼれる
〇刺すには落ちる
〇介助で口から出す時に上顎に当たらないようにする。
〇万能なように見えるが健常者が使うもので福祉用具ではない


こんな感じです。
これなら福祉用具のパンフレットをペラペラめくり行えるので個人でもグループでもできる手軽なスキルアップ方法です。


介護の危険予測訓練用のトレーニングシートもありますね。介護の事故あるあるを絵にしたものです。あからさまな「間違いさがし」なので初級には良いと思います。



即戦力になるトレーニングは、現場の利用者が過ごしている何気ない日常の写真や映像を見て行う事が良いと思います。
許可を取りスマホでタイムラプスを撮って見直すと多くの危険にきづくことが多いですよ。

どうだったでしょうか。何かのきっかけになればこれ幸いです。
へいへーい

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